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在職中・退職後の競業避止義務について

  標記について、簡単にレポートします。ご活用願えれば幸甚です。

1.在職中の競業避止義務の有効性

・労働者は、在職中は、企業に対して職務専念義務を負うものであり、勤務先企業と競業する職務に従事することは、原則として禁止・制限されている。

⇒ 雇用契約や就業規則に規定していることが多い。
⇒ 上記規定がなくても、雇用契約における信義則上の義務として一般に認められている。
 

2.退職後の競業避止義務の有効性 

・労働者は、退職後においても、競業避止義務を負うものであろうか。この問いに対しては、労働者の退職の事由、憲法上の職業選択の自由との関連で考察する必要がある。

・裁判例では、退職後においても、一定の要件があれば、競業避止義務を認めているケースもあるが、その要件は厳しく、多くは認められないケースの方が多いと考えるべきである。なお、退職後の競業避止義務が認められるための条件の第一は、就業規則で明確に定められていることは言うまでもない。 

⇒ 退職後の競業避止義務が認められた事例(ダイオーズサービシーズ事件。東京地裁H14.8.30)

「退職後の競業避止義務を広く容認すると、労働者の職業選択又は営業の自由を不当に制限することになるから、退職後の秘密保持義務を有することを前提として、期間、区域、職種、使用者の利益の程度、労働者の不利益の程度、労働者への代償の有無等の諸般の事情を総合して合理的な制限の範囲にとどまっていると認めるときは、その範囲で、公序良俗に反せず無効とは言えないと解するのが相当である」
 

3.「退職後の競業避止義務が認められる」ためには・・・ 

・東京地裁の判例から、以下の点に留意する必要がある。

@制限期間は、一般的に2年以下が相当と思われる。
A地域限定は、ケースバイケースであり、他の諸々の要素を加味する必要がある。
B職種としては、「労働者が企業秘密などを知ることができる高い地位にいたかどうか」が判断の要素となる。
 (原田商店事件。広島高裁S32.8.28)
C代償措置の有無も判断要素の一つとなる。(ファセコ・ジャパン・リミテッド事件。奈良地裁S45.10.23)

上記判例を踏まえると、「退職後の競業避止義務が認められる」ためには、従業員に対し、在職中にも相応の処遇をし相応の賃金等を支払っていること、退職時に十分な退職金を支払っていること等が大きく左右すると理解すべきである。

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