流星嵐がやってきた!!
2001年11月19日(月)未明、嵐のように星が降る天体ショーが見られました!
嵐というのは少々オーバーですが、1時間に5000個の流星雨でした。
なぜ、このような流星雨が、2001年に起きたのか、
彗星と流星を追いかけてきた経験から少し解説してみましょう。
(但し、知識は、ほとんど20年前のものですが・・・。)
彗星(ほうき星)
古来、不吉の前兆とも言われてきた彗星(ほうき星)は、「彗星のごとく現れた」とい表現され
るように、太陽に接近して急に明るくなり、尾を伸ばすため、昔は突然現れる印象が強く、しか
もその様子が他の星とは全く異なることもあって、不吉の前兆にされてしまいました。
よく、その姿から、夜空を尾を出しながら飛んでいるものだと思う人が多いのですが、実際に
は、見た目は、普通の星の中で、ぼ〜っとしているだけで、尾は、太陽と反対側に伸びていま
す。(太陽に接近しないと尾は伸びませんが。)
彗星は、太陽と、隣の太陽との間あたりから、気の遠くなるような長い年月を経て太陽に落ち
てくる(やってくる)と言われています。その物質は、汚れた雪だるまと表現されるように冷たい
宇宙空間で凍っていますが、太陽に近づくにつれ、太陽のエネルギーを受けて、ふやけ(?)、
本体のまわりにチリやガスが浮かんできます。さらに太陽に接近すると、太陽からのエネルギ
ーで、チリやガスが吹き飛ばされ、太陽と反対側に「尾」となって伸びます。
太陽に接近した彗星は、ガスや、チリを引き連れて、Uターンし、再び宇宙のかなたに遠ざか
っていきます。(中には太陽に飛び込んだり、消滅してしまうものもあります。)
ふつうは、帰ってきませんが、旅の途中で、惑星に接近する彗星もあります。中でも、木星や
土星のような大きな惑星に接近してしまった彗星は、その重力の影響を受けて、軌道を変えら
れてしまい、一部は太陽のまわりをまわる周期彗星になってしまうのです。
周期彗星で有名なのは、ハレー彗星。76年の周期で太陽の周りをまわるはめになってしま
いました。
流星(流れ星)とは何か?
お気づきでしょうか? 流れ星の正体のほとんどは、実は、彗星から出たチリ(ダスト)です。
その大きさは、目に見えないような小さなものなのですが、地球に飛び込んでくるとき、大気と
の摩擦で発光して、輝くのです。中には、地上まで落ちてくる隕石もありますが、これは、彗星
のチリとは違って、彗星そのものだったり、小惑星という別の起源のものと言われています。
でも、ほとんどの流星は、彗星から放出された散らばったチリがたまたま地球に飛び込んで
きたものなのです。
流星群とは?
1年の中で、たとえば、8月の12日前後には、ペルセウス座流星群が見えるとか、11月17
日前後には、しし座流星群が見えるというような話を聞かれた方もいると思います。星座の名
前は、その星座の方向から、放射状に、たくさんの流星が流れるように見えることからつけら
れています。雨の日に空を見上げると雨滴が放射状に落ちてくるように見えるようなもので、実
は、並行して流れてくる流星なのですが、地球上から見ると、ある星座の方向から放射上に流
れるように見えるだけです。
では、なぜ、毎年決まった日に、見えるのでしょうか? 流星は彗星のチリだということを思い
出してください。流星群となるチリは、彗星の軌道上に一様にばら撒かれています。そして、そ
の彗星の軌道と、地球の軌道が交わっていたら・・・毎年、地球が、その彗星の軌道と交わる
時期に、その軌道上にあるチリが地球に飛び込んでくる・・・・これが流星群です。
もちろん、流星群が見えるためには、母彗星の軌道が地球と交わっていなければなりませ
ん。過去から太陽に接近して、惑星の引力に軌道を変えられ、周期彗星になってしまった彗星
の中で、地球の軌道とたまたま交わった軌道を持った彗星が残したチリが、毎年、地球がそこ
を通過する時に、たくさんの流星となって見えるのです。
有名なものは、1月の四分儀(りゅう)座や、8月のペルセウス座、11月のしし座、12月のふ
たご座など、1時間に数十個の流星が見られますが、雨のように星が降るとまではいきませ
ん。天文ファンなら、1966年のしし座流星雨のように一生に一度ぐらいは、雨のように降る星
を見てみたいものですが。
流星雨とは?
1966年、米国で1時間に1万個もの流星がみられました。有名なしし座流星雨です。ピーク
は10分ほどしか続かなかったということですが、しし座流星群は、過去に何度も大出現を見せ
ています。
すでにお気づきのように、これは母彗星が太陽に接近した年の近くに起こっています。流星
の起源は彗星のチリですから、当然、母彗星が地球の近くにいる時に、地球がそこを通過す
ると沢山のチリが雨のように降るというわけです。数年前にしし座流星群が騒がれたのも、か
つてジャコビニ流星群が騒がれたときも、地球が彗星の軌道を横切るとき、母彗星がすぐそば
にいたのです。
※ところで、地球が彗星の軌道を横切るとき、そこに彗星がいるとどうなるでしょうか? ・・・・
当然、彗星との衝突です。かつて、恐竜が滅びたのは彗星との衝突という説もあります。
※流星群として見えるためには、彗星が太陽に捕まってからの年数にもよります。太陽に捕ま
ってから、何度も回っていない彗星の場合は、彗星の近くにしかチリがばら撒かれていません
から、毎年見える流星群にはなりません。これが、何度も何度も、太陽の周りをまわった彗星
になると、ほぼ軌道上に一様にチリがばらまかれ、毎年、地球がそこを通るたびに流星群とな
って見られます。
なぜ、2001年に日本で流星雨が見られたのか?
2001年は、しし座流星群の母彗星が行ってしまって、もう数年経ってしまっていました。なの
に、なぜ、あれほどの数の流星が見られたのか?
今までは、単純に母彗星が近くにいれば流星雨が見える可能性が高いという程度で騒いで
いましたが、これまでの出現状況を研究してきた北アイルランドのアッシャー博士という人は、
彗星のチリの固まりの分布を力学的に計算して、2000年の予想では、実際の出現状況と比
べ、ピーク時間も10分ほどの誤差で一致したのです。
その研究では、これまでお話した彗星のチリの広がりを、もっと詳しく計算し、特に8つの惑
星の引力の影響まで計算した上で、過去の太陽接近で発生したチリのかたまりが今、どこまで
移動したかを調べています。そして、それに基づく一昨年、昨年の計算と、出現状況がぴった
りといっていいほど一致したのです。
興味深いのは、太陽接近時に、ぼわっと発生したチリの塊が、木星などの大惑星と太陽の
重力との力学的関係で、拡散しないで塊のまま彗星について回るということを計算で予想し、
実際の出現状況が一致していることです。
2001年、流星嵐が日本で見える!?
このアッシャー博士の計算によると、2001年11月19日、地球は、チリの塊に突入すること
が予想されました。
特に、流星が見える条件の良いのが東アジア、オセアニアで・・・日本が入っていたので
す!!
詳しく言うと、2001年11月19日2時半ごろ、地球は、1699年に母彗星が太陽に接近した
時にできたチリの塊に突入。さらに、3時過ぎには、1866年に母彗星が太陽に接近した時に
できたチリの塊に突入したのです。このとき、日本では、5000個もの流星が見られたというわ
けです。
11/19の大出現後、マスコミが「まだまだ見られる流星群」として、
12月のふたご座、こぐま座、1月のりゅう座などを
紹介していましたが、まったく規模が違います。こぐま座などは、
一人で見ていたら、せいぜい1時間に数個の規模です。
ま、2001/11/19がきっかけで
天文ファンが増えるのは喜ばしいことですが・・・
2002年は、米国で見られることが予想されていて、
ツアーなども企画されているようです。
2001年の証明で、ほぼ確実に見られることが予想できますね。
(でも、曇るということを忘れてはいけません。)

この尾が流星の起源?
|
|